2004年11月3日水曜日

楽天イーグルス

■「東北楽天ゴールデンイーグルス」が参入することが正式決定された。結果はみんな知っていた…楽天が勝つだろうな、と。


■6球団で運営する方が効率的であり(だったら、なぜ合併を認めたのかとツッコミたくなるが)、なによりも候補地がかぶっていることから、どちらか一社と決まっていた。

■で、赤字運営のパリーグの現状を考えれば、経営体力のある企業が望ましい…ってなわけで、楽天。そりゃそうなってしまうよね。ずいぶんと時間かけたけど、何のための審査だったのかが疑問だ。

■ま、不祥事続きの西武を、「公共財」としてふさわしくない企業として除名処分、楽天・ライブドアが新規参入でもよかったんですけどもね。あるいは財務内容を公表して、7位の球団が外れるとかさ。

■世間ではライブドア支持の声が大きい。確かに最初に手を上げて、選手会を援護する役割があったことは事実だ。だけど、これは新規参入とは別問題。

■仙台を本拠地に選ぶことが「後出しじゃんけん」になり、ずいぶんと印象が悪くなった(ナベツネ黒幕説まで出てくる)。それもあって、善悪二元論が出てきて、ライブドア(善玉)・楽天(悪玉)となっている。かつての「小泉首相VS抵抗勢力」にも通じるものがあるが、私はどうもこういう構図が嫌いだ。

■堀江社長のイメージ戦略は効果的だった。「Tシャツ」「ノーネクタイ」の堀江社長は、「旧態依然」のプロ野球と鮮やかなコントラストが出ていた。一方の三木谷社長は、「ネクタイ」をして、他のオーナーとも協調していくことを明言している。これが「妥協」と映ったのだろう。

■閉塞感をもつ野球ファンにとって、とにかく「旧態依然」とする野球界をぶち壊して欲しかった。堀江社長ならそれが変えられると思ったのであろうが、それは過剰な期待だ。一球団が変わったところで、他球団が変わるほど、今の野球界が楽観的状況にあるとは思わない。

■ともかく楽天が新規参入する。「われらがライブドア」を追いやった楽天を心情的に愛せるのだろうか。

■ちなみに、今日の株価…ライブドアがぐぐっと上昇。球界参入すれば、経営に悪影響がでると投資家たちは考えていたのだろうか。堀江社長がテレビに出れば出るほど、株価は下がっていたわけだが、これで株主も一安心?いや、すっかり「悲劇のヒーロー」になって、ますます出演してくるか。

■あと、宮城県営球場ってのは何とかした方がいいんじゃないか。なんか盛り上がってる景色が想像できないんですけど。


■次の日の社説たち…

■読売新聞/社説[『楽天』参入]「プロ野球界に新風は吹くか」
 近鉄の赤字経営問題が球界騒動の発端だった。それだけに、参入審査では球団を長く安定的に経営していくだけの体力と熱意があるか、公共財としてふさわしい企業かどうかが、厳しく問われた。
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 地元が大いに盛り上がっている。仙台にプロ球団が来るのは、ロッテの撤退以来二十八年ぶりだ。東北経済産業局は、一年目の経済効果を208億円と分析している。地元の大手企業を中心に「宮城ドーム」を作る構想も浮上した。

 球団が来れば、選手の迫力プレーを生で見る機会が増える。野球少年に夢を与える。野球人口とファン層の拡大は、プロ野球の将来を決める重要課題だ。
 「厳しく問われた」ねぇ…あなたのところのボスは執拗なまでに問うていたみたいっすね。持参したアダルトゲームまで使ってさ。あと、読売が「野球少年の夢」とか言うな。

■朝日新聞/社説「新球団――『楽』しく『天』高く舞え」
 だが、それにしては、今回の新球団の選び方は内向きだった。

 楽天が選ばれたのは、ライブドアに比べて、経営規模が大きいからだ。パ・リーグの球団の赤字は平均で年間30億円を超える。それぐらいの赤字に耐えられる体力がないといけないという理屈だ。

 たしかに、つくったチームをすぐに投げ出されては困る。しかし、赤字が続くと想定し、大きい企業なら大丈夫、ということでよかったのか。地元の仙台のファンがどちらを望んでいたかは顧みられなかったといわざるをえない。

 2社の球団構想や経営状態を調べた審査小委員会のメンバーは、巨人、横浜、西武、ロッテの4球団とセ・リーグ会長だった。これにも疑問が残る。

 ドラフトの裏金問題で巨人と横浜はオーナーが辞任した。西武も親会社の株をめぐる虚偽報告でオーナーが辞めた。こんなことをしている球団に、新しく入ろうとする企業の良しあしを判断する資格はあるまい。
 もっとも選考に批判的なのが朝日ですね。ナベツネさんに世論誘導とお叱りを受けるだけのことはある。

■毎日新聞/社説「楽天球団承認 他球団の協力が欠かせない」
 公正を期すとした審査小委員会による公開ヒアリングは、ライブドアに一方的に厳しかったように映る。「あと出しじゃんけん」の楽天が、先行したライブドアと同じ仙台を本拠地に正式申請した時点から、「最初に結論ありき」の印象はぬぐえない。
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 新規参入とはいえ「弱小球団」を誕生させたのでは意味がない。新球団のチーム編成はこれから実施される分配ドラフトなどで骨格が出来上がるが、他の11球団の協力態勢が欠かせない。長丁場のペナントレースを戦う以上、各チームはある程度、戦力が均衡しないとゲームの興味が失われるのは自明のことだ。

 3人のオーナーを辞任に追い込んだ有望な新人の獲得をめぐるスカウト不正工作も、元をただせば「自分のチームさえ強ければ」という球団エゴむき出しの姿勢が生んだ不祥事だ。ファンに支持される好試合をどれだけ提供できるか。12球団が結束し、全国のファンの期待に応える姿勢がいま、プロ野球界には求められている。

 新球団をいかに健全なチームに育て上げるか。審査した既存球団も大きな責任を背負っていることを忘れてもらっては困る。
 そりゃそうだ。


■産経新聞/社説「新チーム誕生 『1リーグ制』阻止に貢献」
 せっかく、ファンの後押しでともした灯を消すことになれば、日本のプロ野球は再び縮小方向に向かい、無死満塁のようなピンチになりかねない。

 他の十一球団はそうした広い見地から、一線級選手も積極的に供出し、新チームに協力すべきである。選手たちも、そうしたいきさつからして、新球団への参加を厭(いと)うてはならないのは当然だろう。
 ほんとに必要な選手ならどこも出すわけないじゃないっすか。

■東京新聞(中日新聞)/社説「球界改革の風になれ」
 球界構造改革とは、巨人一極集中からの脱却にほかならない。そのためにはいびつな現行ドラフト制や、それに伴うFA制度の見直しといった地ならしも必要だ。

 「経営体力が勝っている」のが決め手になった楽天だが、軌道に乗るにはそれなりの時間もかかる。先達からの支援も欠かせない。新球団の産声は、球界全体が新たな運命共同体になり、個々の球団が地域とのきずなの結び直しに向かう合図だと受け止めたい。
 巨人一極集中って、中日が巨人依存で助かっているわけですが。


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