2004年8月2日月曜日

戦時下の大統領

日本経済新聞/社説「ケリー演説に映る戦時の影」(8/1)
 米民主党大会で大統領候補に指名されたケリー上院議員の受諾演説は、戦時下の米国の空気を映している。イラク戦争をめぐるブッシュ政権との姿勢の違いに焦点が当たり、ハト派イメージを抱かれやすいが、ケリー氏は国家安全保障に多くを割き、これまでの民主党大統領候補との違いを見せた。
 「同盟を再建する必要がある」「必要な武力行使はためらわない」「星条旗は永遠であり私はそのもとで戦った」――。ブッシュ演説ではない。ケリー演説にちりばめられた言葉である。イラク戦争を始めた経緯や戦術をめぐっては共和党政権との間に違いがあるが、同時テロ以降の米国の空気は挑戦者にもこうした発言を求めるのだろう。それは外からは見えにくい。
 民主党大会が採択した政策綱領は、北朝鮮の核開発にも厳しい姿勢をとる一方で米朝二国間の直接交渉を提案する。現在の6カ国協議に対する北朝鮮の消極姿勢を助長する可能性が気になる。通商政策にも米国内の雇用を重視する観点から保護主義的な色彩がある。日本の自動車市場を閉鎖的としており、ブッシュ政権より強硬な手法がうかがえる。



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