■博士号取っても定職なし、文科省が「余剰博士」対策へ(読売新聞)
博士号を取得したのに定職に就けない「余剰博士」が増え続けているため、文部科学省は来年度から、博士号取得者の進路を詳しく調べて問題点を分析、博士の活躍の場を広げる方策を検討することを決めた。
まずは、定職を得る前に、国から生活費を受けながら大学や公的機関に籍を置いて研究を続ける博士号取得者「ポストドクター」について、期間終了後の進路などの実態把握に乗り出す。
文科省の統計によると、1990年代に同省が大学院を拡充して定員を増やしたため、ここ数年で博士が急増。2003年3月の博士課程修了者は約1万4500人で、最近10年間で2倍に増えている。このうち約1万400人は自然科学系の博士。
一方で、大学の教員や公的機関の研究者といった、多くの博士が就職を希望する職種の採用人数はそれほど増えていない。民間企業も「博士は社会経験が乏しく、視野も狭いので使いにくい」などの理由で博士の採用を避ける傾向がある。
このため、2003年の博士の就職率は54・4%と、最近10年間で約10ポイント低下。自然科学系の就職率は60・9%にとどまる。
本来、高度な専門知識を生かして社会のために活躍すべき博士が職にすら就けないという“博士余り”現象が、年々深刻になっている。
政府は博士救済策として「ポストドクター等1万人支援計画」を進めているが、数年間の期間終了後は、やはり就職難に直面するため、「問題の先送りでしかない」などの批判も出ている。
この事態を抜本的に改めるため、同省は国内の博士の活動実態を詳細に調べたうえで課題を抽出。大学院の博士課程教育の改善や、産業界の意識改革などを進め、博士が各方面で活躍できる社会の構築を急ぐ。
◆「ポストドクター等1万人支援計画」=博士課程修了者の雇用を拡大するため、政府が1996年度から開始した支援事業。年間1万人の博士を公的機関が一時的に雇用したり、数年間にわたって研究費や生活費を助成する。第1期科学技術基本計画(96―2000年度)の目玉として導入され、99年度に年間支援者数が目標の1万人を突破した。
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