2003年10月22日水曜日

悪いのは自転車か?―放置自転車問題

 しばしば、駅などで放置自転車を問題視するテレビ報道がなされる。駐輪している人を見つけ出しては「ここに駐輪禁止って書いてありますよね?何でするんですか?」とリポーターが説教するものもある。駐輪した人は「皆やってるから…」とか「ちょっとの時間だけ」苦しい弁明をするものや「すいません。」とか「気付かなかった」とか、無視したりするものがある。

 これはいいイメージを与えない。おそらく、一般の人々は「歩く人の迷惑を考えていないで駐輪するなんてモラルがない!」と怒ることだろう。(私はあまのじゃくなので、インタビューしている人間に腹が立つが。何であんなに上から見下して発言をするのか、と。)

 人間とは弱い存在である。インセンティブがなければ他人のことなど考えるはずもない。その弱い存在であるがゆえにほとんどの人が「皆やっているから…」という集団心理が働き駐輪しているのだ。その心理の合成が多くの自転車の集合となっている。

 もちろん、モラルがないことは否定しようのない事実だが、集団心理から発生している弱い個人による悪さの現場で、自分達の局のモラルを棚上げして、メディアがこらしめるのはどうかと思う。取材対象を相手が一人で弱いものに的にし、強いメディアが攻撃することはモラルに反しないか?

 カメラに向かって攻撃的な言葉を吐く人もいるが、こういうのはテレビ局側にとって大歓迎である。その場でのやりとりはあまりないが、後のナレーションで「悪いのは自分なのに居直っている」と攻撃するのだ。テレビ局にとってはこういった緊迫した場面は視聴者を喜ばせるものであるのだ。こんなものは視聴者を喜ばせるためのパフォーマンスでしかない。

 そもそも、自転車の環境を整える必要性こそ訴えるべきではないのか?自転車ってのが何でこんなに奨励されないかがわからない。排気ガスを撒き散らす自動車にも乗らず、超クリーンの人力で動く自転車に乗っているのだ。公共交通機関を使わないで、自動車に乗っているよりはよっぽどよいと思うのだが…とりわけ、地球温暖化ってな環境問題が深刻なご時世なんだから。


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