2003年5月20日火曜日

朝青龍の品格

■日本政府は、北に核再処理や新たなミサイル発射の動きが確認された場合、外国為替・外国貿易法(外為法)の新たな法解釈に基づき、日本の金融機関を通じた北への送金を全面的に停止し、経済制裁を行う方針を固めた。北朝鮮の国家予算が160億〜200億円程度とされるが、日本からの送金は年240億〜720億円とされ、在日系企業からのミサイルや核兵器の部品などの輸出とあいまって、北の貴重な資金源…らしい。

■ミサイルを発射されたら、という条件でならやむをえないかな…これだけの額が止まるとなればミサイル発射の抑止に少しは役立つかな。ただ、拉致事件が行き詰まったからといって、安易に制裁を発動したら危険だ。報復合戦なんてのは最悪の事態だ。

■大相撲、朝青龍×旭鷲山…旭鷲山がはたき込みで勝利。試合後、立ち合いでじらす旭鷲山に対し、苛立って「手をなかなかつかねえんだよ、あれが」と朝青龍が文句をつけた。腹ばいになった瞬間に左手で蛇の目の砂を指さし、審判員にアピール。さらに、戻る際に肩がぶつかった旭鷲山をにらみ続けた。引き揚げた朝青龍は不気味な笑みを浮かべ「来場所は張り返す。今度からはたくやつは罰金だ。そんなことをするから相撲がつまらなくなるんだ。訳の分からん1番だよな」とまくし立てた…らしい。

■僕もたまたま大相撲中継を見ていたが、朝青龍が苛立っている様子が見て取れた。特に戻る際に、旭鷲山にぶつかり睨みつけたところは印象的だ。

■朝青龍の「品格」(品格のカケラもない「ナベツネ」が委員長を務めている横綱審議委員会に問題にされた)が、あらためて問われることになった。ちょっと前の『週刊新潮』でも、韓国人記者を「バカ野郎」「このクソ外人」と面罵し、挙句の果てに「キムチ野郎」と罵倒したと報じられている。

■朝青龍が人気がでないところはこういうところだろう。相撲ファンはお年寄りが多い。誠実さに欠けた人間を応援する気にはなれないのではないか。まして相撲は保守的だ。そもそも「外国人」に対して風当たりが強いし、感情や悔しさを出すことは伝統を壊すものとみなされるだろう。実際、横綱らしからぬ行為を九重審判長(元横綱千代の富士)は「品格に欠ける。態度が悪い」と批判。北の湖理事長(元横綱北の湖)は「横綱は負けた悔しさは隠さなくてはいけない」と注意されている。

■朝青龍は、「外国人力士」が「伝統の破壊者」と見なされるようなきっかけを自分自身で作り出してしまっている。今後、外国人力士は増加していくだろうが、そのことがますます相撲の低迷を招くものとなっていくだろう。

■ある面で「ヒール(悪役)」が人気のためには必要であることは否定しないが、それは「ヒール」を倒すことができる「ヒーロー」がいることが前提だ。現在の相撲界に朝青龍を倒すだけの実力を持っている者がいようか?まったく見当たらない。今後、もし朝青龍が先人たちの偉大な優勝記録を塗り替えるようなことがあったら…この時こそ日本人の相撲離れは決定的なものとなるだろう。

■これまでだって「黒船」の襲来はあった…小錦、曙、武蔵丸である。しかし、当時はそれに立ち向かい、彼らを「やっつける」日本人力士がいた。千代の富士がそうであり、貴乃花、若乃花がそうだ。現在、幕下でも外国人力士の台頭が目立つ。これまでになかった状況があるのだ。それを日本人は受け入れることができるのだろうか。

■今、一番人気があると思われるのは高見盛で、独特のパフォーマンスとその憎めない性格が好評だ。しかし、実力が人気においついていない。これでは朝青龍のライバルにはなりえまい。

■それにしても「大相撲ダイジェスト」が平然と続いているのはなぜだ?終わったと報道されていたはずだが。


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