2004年9月1日水曜日

ブッシュ政権の政策課題

東京新聞の核心で、「『次の4年もブッシュ』なら…」と二期目ブッシュ政権の政策課題を解説している。
■外交 
 「米国は世界で最も危険な拡散の源の一つを終わらせ、国民はより安全になった。引き続き同じ道にとどまらなければならない」
 綱領は、米国にとって大量破壊兵器の拡散阻止や「テロとの戦い」が引き続き最優先課題であるとの立場を鮮明にした。
 二〇〇一年一月に誕生したブッシュ政権は、同年九月の米中枢同時テロを受け、アフガニスタンを攻撃。〇三年三月には大量破壊兵器を開発しているとしてイラクへの先制攻撃に踏み切り、二つの政権を崩壊させた。
 綱領は「大統領の強力な指導力で、世界はより安全になった」と、米軍の圧倒的な軍事力の行使を称賛している。だが、戦後の復興過程に入っても、アフガン、イラクではいまだに反米武装勢力との戦闘が続き、米国は二つの戦いに完全勝利したとは言い難い。
 テロとの戦いや、戦後復興、大量破壊兵器の拡散阻止などには、米国単独や限られた有志連合ではなく、国際社会と連携した長期的な取り組みが不可欠。ケリー民主党候補が、ブッシュ政権の外交政策を批判し、国際協調重視への転換を主張するのも、このためだ。
 しかし、共和党綱領は、国際的に根強い批判のある先制攻撃の必要性を訴えるとともに「米軍は国連の指揮下に入らない」と宣言。国際刑事裁判所(ICC)の米国民に対する司法権を認めず、地球温暖化防止のための京都議定書に「強く反対する」など、単独行動主義の継続を打ち出している。
 ブッシュ政権が二期目も、綱領のような単独行動主義を貫けば、国際社会の反発は必至。テロとの戦いでの勝利や大量破壊兵器の拡散阻止は、より困難になる。

■経済 
 持ち家、中小企業、自前の健康保険−。綱領の特徴は「所有の拡大」を前面に出したことだ。
 「所有時代の先導」を第二章に据え、経済政策の中心に置いた。ブッシュ大統領が主導した大型減税の恒久化や規制緩和などにより、個人の「所有」を拡大。国民生活の水準引き上げを目指す。
 大統領は同章の巻頭言で「政府の役割は、国民自らの選択による生活の改善を手助けすることだ」と述べ、「小さな政府」路線を強調。さらに綱領は「所有は富裕層や特権階級の領域であってはならない」と明記し、民主党から予想される「金持ち優遇」批判にも先手を打った。
 だが、米経済の現状は、綱領が「三十三カ月連続の経済拡大」を誇示した通り、大幅に改善しており、減税などのてこ入れが必要な状況ではない。
 これに対し、米財政は、〇四会計年度(〇三年十月−〇四年九月)の財政赤字が四千四百五十億ドル(約五十兆円)と見込まれ、過去最悪を更新するのは確実。イラク戦争の戦費など歳出圧力が高い中で減税を継続すれば、財政の好転は見込めない。
 綱領は、財源の裏付けのない新規事業を認めないなど、歳出抑制努力によって、大統領が掲げた「五年間で財政赤字半減」の目標を追認した。
 だが、歳出抑制だけで赤字削減ができるかどうかは不透明。むしろ、経済の改善による税収増で赤字削減も可能な時に、なお減税にこだわるブッシュ経済政策。「経済環境が劇的に変化したにもかかわらず、かたくなに、無謀にも同じ政策を守った」(ワシントン・ポスト紙)と、早くも批判の声が出始めている。



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