2004年10月1日金曜日

韓国人の対外意識調査

■韓国人の対外意識調査(中央日報創刊39周年・韓国人対外認識調査から抽出)
◆国益に脅威となりうる懸案のうち、国際テロリズムを最大の脅威に選んだ。 61%が「非常に脅威だ」と回答した。 大規模テロに遭遇したことのない国としては非常に高い数値を示している。 この傾向は、回答者の75%が北朝鮮の核兵器保有を信じているが「非常に深刻な脅威」ととらえている人は39%に過ぎなかった点と対照的だ。 比較的抽象的な要因よりも具体的な要因に対する危険性を低く見ていることになる。

◆安保に対する認識の皮相さは、安保問題を解決する手段への態度としても受け止められ、得てして非常に平和主義的な態度を見せる。 回答者の30%は「他国が先制攻撃をしたからといって戦争を正当化できない」と回答している。 残りの34%は「相手国が先制攻撃を仕掛けてきた後なら戦争は正当化される」と回答した。

◆しかし、解決手段については相当攻撃的。 回答者の75%が「国際社会で生き残るためには強力な軍事力が必要だ」と答え、さらに驚くべきことに過半数(51%)が「韓国も核兵器を持つべきだ」と回答した。 しかし、そのような手段を備えるだけの軍事費支出については消極的な立場。


◆韓国人は米国を好きで、同時に嫌う。 米国の「世界の警察としての役割を批判」(74%)しつつも「韓米同盟は統一後も維持されるべきだ」(91%)と考えている。 北朝鮮が「核を保有していると思う」(75%)が「さして深刻な脅威とは感じない」(62%)。 「世界化は韓国経済の助けになる」(81%)が「どんな対価を払おうともコメ市場は保護すべきだ」(78%)と考える。
 北朝鮮とテロへの見方は、日本とはかなり対照的だ。「日本の脅威」と言えば北朝鮮だし、テロに対する見通しも日本は楽観的だ。

■なぜこのような逆転現象が生じているのだろうか。北朝鮮については、同胞意識が強いからというわけではないようだが。北朝鮮が「命綱」として、韓国を丁重に扱っているから脅威が和らいでいるって面もあるのか。それとも、「北朝鮮に攻め込んでくる軍事力がない」「アメリカがいる限り大丈夫」と確信しているからか(だとしたら、日本よりもよっぽど冷静だ)。日本側は、拉致問題をきっかけに北朝鮮報道が過熱したこと、タカ派/憲法改正論者の過剰宣伝によって脅威と認識し始めたことは言うまでもないだろう。

■国際テロ…イラクにおける人質殺害事件が影響しているのだろうか。後に出す調査でも不思議なまでに「イラク」への好感度が低い。でも、日本の場合も、9.11やイラクでの外交官殺害で犠牲になっている。しかし、高遠菜穂子の「イラク国民を嫌いになれない」に象徴されるように、テロリストやイラクへの憎しみは広がっていない。また、韓国のアメリカとのパートナー意識は、日本以上に強いのかもしれない。


■にもかかわらず、「国際社会で生き残るためには強力な軍事力が必要」と考えているし、過半数が「核兵器を持つべきだ」と考えている(これが先の核開発疑惑における韓国内外の温度差につながったのか?)。北朝鮮よりもテロへの脅威を感じているのに、やや奇妙なことだ。大国になりたい…という意識のあらわれか?

■ともかく、こんな国が日本の憲法改正/軍事大国化を恐れているんだから厄介だ。韓国や中国などは、日本やドイツの「民族的DNA」ゆえに、かつての残虐行為が行われた…と思い込んでいるんじゃないか。

◆15の国にどれだけ好感を抱いているか?
→回答者の多くが「英国」(62点)、「米国」「中国」の順で好きな国を選んだ反面、イラク(33点)、「日本」(45点)、「北朝鮮」(46点)の順で嫌いな国を選んだ。 「カナダ」(57点)、「ブラジル」「ドイツ」(55点)が50点以上で、「メキシコ」(49点)、「イスラエル」(47点)は北朝鮮より点数が高かった。

◆安保と統一について、韓半島周辺4強国と北朝鮮が有益な影響を与えているか、それとも害しているか?
→「米国」(83点)、「中国」(78点)、「日本」(70点)、「ロシア」(69点)、「北朝鮮」(59点)の順。

◆「嫌い」「悪い」といった感情や利益不利益の計算と関係なく、周辺諸国が▽北の核問題▽韓国の安保▽統一問題−−にどれだけ大きな影響力を与えるか?
→最も大きな影響を与える国は「北朝鮮」と「米国」がそれぞれ74点・73点で最も高く、以降「中国」(65点)、「日本」(53点)、「ロシア」(45点)の順。

 反米感情が強いとばかり思っていたが、それは間違いのようだ。にしても、日本への感情はなんとかならんものか。


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