■毎日新聞/社説「渡辺オーナー辞任 足元から再編見直す好機に」
とかく新人選手獲得に当たっては、裏金が動いているとのうわさが絶えないプロ野球界である。今回、球界の盟主を自任する巨人軍が不正の事実を公表した。他球団及びアマチュア球界も他山の石として肝に銘じ、これを機に襟を正してもらいたい。
ただし、渡辺オーナーの辞任については唐突過ぎる印象がぬぐえない。事件に直接関与した関係者の厳重な処分は当然だ。だが、球界再編の難問を抱えた大事なこの時期に、再編の旗振り役を務めてきた渡辺オーナーまでが「道義的な責任を痛感した」として職を辞したのは、どういうわけだろう。巨人軍オーナーとして、またオーナー会議議長として球界浄化の音頭をとるからにな責任の取り方だってありうるのに。
渡辺前オーナーは、1リーグ制への流れが表面化した7月7日のオーナー会議の翌日、日本プロ野球選手会の古田敦也会長(ヤクルト)が、同前オーナーとの面会を求めていることを報道陣から伝えられ「無礼なことを言うな。分をわきまえなきゃいかんよ。たかが選手が」と発言した。
お酒が入った上での発言だったようだが、「たかが選手」発言は選手や野球ファンにさまざまな反発や波紋を呼んだ。この「たかが」発言が実は尾を引いていて、今回の不祥事を契機に表の舞台から姿を隠す意図があったのではないかと勘繰る声もある。
後任の巨人軍オーナーに就任した滝鼻卓雄・読売新聞東京本社社長は、今後の球界への取り組みについて「私も(渡辺前オーナーから)話を聞いていて、全く同じ意見だ」と語り、今後も巨人軍としての球界再編に対する考えに変化がないことを強調した。「渡辺院政」の宣言とも受け取れる。
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