2002年7月30日火曜日

台風オヤジ

 台風おやじ 台風6号がやって来た!えらいこっちゃ!
 子供の頃、台風が好きだった。何だかわくわくした。
 台風が来ると、とにかくニュースを見る、暴風警報が出ないかな〜と思いながら…それで一喜一憂する…これも台風の醍醐味だ。学校が休みとなると、必ず外に出た。何だか、いけない事をしているみたいで…ちょっぴり冒険者になった気分だ。で、それを「危険なのに外に出たんだぞ!」とクラスで自慢した。
 ニュースは各地の様子を映し出す。これも台風という「祭」の名物だ。子供の頃はかじりつく様に見ていた。荒れ狂う川、傘が飛ばされそうになったり、物が飛んでいる映像は小さな僕には面白かった。そんな僕が台風の中で一番の勇者と認定するのが、港でカッパを着ながら必死にリポートするリポーターだ(最近あんま見んけど…)。でも、子供というのは残酷なもので、「この人が海に流されたらおもしろいのに…」と思ったりもした。
 ニュースの情報を家族に伝えるのも僕の重要な役割だった。
 僕は、ニュースで得た知識を家族に得意げに伝えた。「今、紀伊半島にいるんだって!」「今回の台風はあまり強くないらしいよ」「3人がケガしたんだって」とか…
 しかし、そんな子供のちっぽけな楽しみを奪い去る者がいた。「今度の台風ってすごく大きいんだよ!」僕がこう言うと、父が鼻息を荒くして、こう言う…「そんなのたいしたことないよ。伊勢湾台風の時はすごかったぞ!」と。そして、伊勢湾台風のすごさを父は長々と語り出す。
 それを聞いて、子供の僕は「伊勢湾台風に勝てる台風が来ないかなぁ…」なんてことを本気で願った。父の「伊勢湾台風」を倒すような「超大型台風」の到来を…。口惜しかったんだろうと思う。自分が経験した台風よりすごく大きい台風の存在があることが。
 そして、台風が来る度に、何回も「お父さん、今度の台風は大きいよ?」と聞いたものだった。
 そんな時は決まって「伊勢湾台風に比べたら、たいしたことないよ」という返事が戻ってきた。
 父は、子供がムキになるから、からかっていた…そう思えなくもない。
 しかし、この見方は間違いである。何故なら、父は今でも「伊勢湾台風自慢」をするからだ。
 父のちっぽけな自慢…こっちは成長しても、父は成長していないみたい。
 久しぶりに台風について聞いてみようか。


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