2004年11月1日月曜日

香田証生の死

 香田証生(こうだしょうせい)さんに哀悼の意を表するとともに、ご遺族には心からお悔やみ申し上げる


■イラクで日本人の若者が死んだのです。

■香田さんは死んで当然と言う人が多い。日本人の首を切らている動画を求めている人もいる。日本の首相は、テロリストの行為を「残虐非道」というけども、それに喝采する日本人がそこにはいる。

■そういえば、「香田証生」で検索してくる人が多くて、コメント数も増えた。記録として全部掲載しておこうかと思ったけども、それもどうかと思ったのでやめておいた。

■海外を旅していた香田さんに、イラクに対する理解が欠如していたことは間違いない。そんなわかりきったことを、まるで鬼の首でも取ったかのように言ってる者がいまだにいる。そこに並ぶのは御免だから、これ以上は遠慮しておこう。

■ついでに言っておくと、日本は死者にムチ打たない文化らしいので、今回ばかりはこれに従っておく。ちなみに、私はこれを産経新聞から教わったが(靖国神社/A級戦犯問題)、やはり再検討を要するだろう。


■「イラクの平和願っています」…香田さんの家族が談話(読売新聞)
 イラクで殺害されたことが確認された香田証生さん(24)の地元、福岡県直方市の対策本部は31日午前、自宅で安否を気遣ってきた父・真澄さんと母・節子さん、兄・真生さん(26)が、市職員に「みなさんに迷惑をかけて申し訳ありません。救出に向け、各方面の協力をいただき、ありがとうございました。イラクの人たちの1日も早い平和を願っています」と語ったことを明らかにした。
 事件発覚してすぐに、家族には多数の嫌がらせがあったらしい。みなさんに迷惑をかけて申し訳ありません…この一文が胸に突き刺さる。

■読売新聞/社説[邦人人質殺害]「それでも『テロとの戦い』は続く」
 四月の事件の際は、家族が政府に自衛隊撤退を求める一方で、組織的な署名活動やデモが繰り広げられ、政治運動化した。今回、家族は犯人が解放の条件とした自衛隊撤退については言及を避け、政策変更を求めなかった。多くの国民も、冷静に政府の救出活動を見守った。
 世間からの制裁が怖くて、言えなかっただけだし、死んだ今ですら、「死んで当然」と多くの国民が思っている。

■この国では「世間に迷惑をかける」ことを許さず、みんなで制裁を加える。そして、(それが成人であったとしても)子供に対して、親は大きな責任を負う。親は子供の無事を願うのは当然のことだ。なのに、なぜ香田さんの両親は世間から制裁を受ける必要があったのだろう?

■私が親なら「イラクに行くなと言われても行った。自業自得です。」と言う…そんな意見も聞こえてきた。その人に子供がいるかどうか、わからない。また、どれだけの愛情を子にそそいでいるかも知る術もない。だが、実際に愛する子供が殺されるとなったら、「冷静に」手をこまねいていられる人間などいるのか。あるいは、あなたのように賢人ばかりではないのだから、冷静でいることを他人に強いるのは酷な話だ。


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