なぜ、「反日」ブーイングが起きたのか。中国には「愛国無罪」の伝統がある。愛国が目的なら、ルール違反も許されるという考え方だ。天安門事件ではデモ隊が「李鵬(当時の首相)打倒!愛国無罪!」と叫んだ。首相打倒の目的は愛国であるからデモ隊を鎮圧してはならないという意味が込められている。
かつて抗日戦争を戦った中国では、抗日は愛国だと教えてきた。その後も、小泉純一郎首相の靖国神社参拝や尖閣諸島の領有権問題など、日中間で政治的摩擦が起きるたびに、中国の庶民感情の中では反日と愛国が結びついた。いったんそれがはけ口を見いだすと、「愛国無罪」の思考回路に乗って爆発する。
近事片々「中国には「愛国無罪」の殺し文句を…」(毎日新聞 2004年8月7日 東京夕刊)
中国には「愛国無罪」の殺し文句を伴った政治行動の伝統がある(社説「中国アジア杯」)。我々にも無縁ではない。簡潔で的確、さすが漢字の国だ。が、中国に固有の試練を受けて、その意味は屈折している。
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問題は「愛国無罪」で意識される「罪」の内容だ。一般的には内外の秩序や法への挑戦や無視だろうが、サッカー場での場合は、場違いな反日政治宣伝の持ち込み。が、「反日」は一端で、実は反政府心理ともいう。
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日本VS中国戦を見守ろう。日本の「愛国無罪」気分が刺激される事態のないように。ただでさえ日本は正義と国益を掲げる米ブッシュ外交に散々振り回されてきた。別の「愛国無罪」国に?
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