2004年8月7日土曜日

ロールズ「無知のベール」

【噴水台】無知のベール(中央日報)
2002年に他界したジョン・ロールズ(米ハーバード大)教授は「単一主題の哲学者(onetheme philosopher)」という仇名を持っていた。 一生「正義(justice)」という主題のみ見極めたからだ。 ロールズ教授が1971年に出版した代表作『正義論』は、哲学だけでなく人文・社会科学において、正義を取り扱う規範学を復権させた、との評価を受けている。
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ロールズ教授は、正義が、先験的に与えられたものではなく、社会の構成員が合意した原則によって決まる、と考えた。 そのとき、社会の構成員は「無知のベール(the weil of ignorance)」に蔽われた状態で、正義の原則を選ばなければならない。 「無知のベール」とは、自身の位置や立場について全く知らずにいる状態を意味する。 一般的な状況はすべて知っているが、自身の出身・背景、家族関係、社会的な位置、財産の状態などについては知らない、という仮定である。 自身の利益に基づいて選ぶのを防ぐための装置だ。 それを通じて、社会全体の利益に向けた正義の原則を見いだせるようになる。

無知のベールを動員すれば、社会的な対立をさらに容易に解決できる道を見いだすことができる。 ストライキの例を見てみよう。 労働者と経営者は、それぞれ有利な状況を総動員し、最大限に、自分の利益を確保しようとするはずだ。 しかし、無知のベールに蔽われているならば、状況は変わる。 労働者と経営者いずれも、自身に戻ってくる損が最も少ない方を選ぶようになる。 自身の強みと相手側の弱みが分からないからだ。 無知のベールに蔽われれば、自身の位置が分からなくなるため、合理的な利己心によって、すべての人の被害を最少化する「正義の選択」をするようになる、というのがロールズ教授の教えだ。



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